古い建物を新たな価値に変えるリフォームとリノベーション

福島

どんなものでも「直して使う」と愛着が持てて、大切にしますよね。
古い建物やビルもそんな風にして一緒に年をとっていくのはどうでしょうか。

1. 古い建物の魅力と可能性

古い建物には、その時代背景や地域の文化を反映した独特の歴史的・文化的な背景があります。
建物そのものが持つストーリーやかつての用途は、現代の新しい建物にはない独自の個性や趣を提供します。こうした古い建物の魅力は、リフォームやリノベーションを通じてさらに引き立てられ、新たな価値として蘇ることができます。
そのため、古い建物を再生することは、単なる建築物の改修ではなく、文化や歴史を未来へと継承する重要な活動です。

2.リフォームとリノベーションの違い

図 リフォーム・リニューアル工事調査報告書

(出典)国土交通省Webサイト 建築物リフォーム・リニューアル調査 
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001728255.pdf
(2024年9月2日閲覧)

国土交通省は、建築物のリフォーム・リニューアル工事について、建設業許可事業者5,000社に対し調査を実施しています。
上のグラフは、その調査結果のうち、工事の受注高の推移を表しています。

住宅系も非住宅系も令和4年から令和5年の一年間を比較しても、大きく伸びているのがわかりますね。

リフォームの定義と目的

リフォームとは、新築時の目論見に近づくように復元する事(修繕)、とのことです。

主に建物の外観や内装の更新を指し、例えば壁紙の張替えや床材の交換などの小規模な改修も含まれます。基本的には既存の構造や用途を変えずに、老朽化した設備や仕上げを新しくし、建物の機能や美観を向上させることを目的としています。

リノベーションの定義と目的

リノベーションとは、新築時の目論見とは違う次元に改修すること(改修)、とのことなので、建物の構造や間取り、機能そのものを変更し、新たな用途や現代的なデザインを導入するプロセスです。例えば、古い工場を住宅や商業スペースに転用するなど、建物に新たな生命を吹き込む大規模な改修を行います。これにより、現代のニーズに合わせた新しい空間を創造することなどが目的です。

選択する際のポイント

リフォームとリノベーションの選択は、建物の現状、希望する変更内容、予算によって異なります。リフォームは比較的コストが低く済む一方、リノベーションは大規模な変更を伴い、結果として高い価値を生むことが多いです。そのため、どちらの方法が最適かを慎重に判断する必要があります。

新しい価値を創造するために古い建物を活用する

おおげさなようですが、古い建物は、住宅を含めても、それぞれに、思い入れや歴史や文化的背景を持ち、時代背景やその独特の雰囲気やデザインは現代の建物にはない魅力を持っていますよね。リフォームやリノベーションによって、その価値を現代的なニーズに合わせて再解釈し、次の世代へと引き継ぐことが可能です。こうしたプロセスは、単なる建物の改修に留まらず、近隣や地域の文化やアイデンティティの保存、環境への配慮といった広範な意義を持ちます。

新しい価値の創造とは、古い建物をリノベーションすることで、新しい用途や機能を加えることができます。例えば、歴史的な倉庫や工場をモダンなカフェやホテル、アパートメントに転用することはよくある例です。これにより、単なる「古い建物の保存」に留まらず、都市の再生や地域コミュニティの活性化につながります。さらに、こうした空間は独特の魅力を持つため、観光やビジネスの誘致にも寄与します。

耐震性の向上と災害対策として、日本のように地震が多発する地域では、古い建物をそのまま使用することはリスクを伴います。リノベーション時に耐震補強を施すことで、建物の安全性を現代の基準に合わせることが可能です。具体的には、以下のような対策が取られます。

  • 耐震補強工事
    古い建物は、建築当初の耐震基準に基づいて設計されているため、現行の基準には適合しない場合があります。リノベーションの際には、構造体の補強や耐震壁の追加、基礎の強化などを行い、地震に耐えうる構造に改良することが重要です。
  • 免震・制震技術の導入
    最新のリノベーションプロジェクトでは、免震装置や制震装置を導入するケースも増えています。これにより、地震の揺れを建物全体に伝わりにくくし、被害を最小限に抑えることができます。
  • 災害対策としての断熱・耐風対策
    耐震補強に加え、台風や強風に対する耐風対策や、急激な気温変化や洪水に備えた断熱工事も重要です。古い建物は気密性や断熱性が低いことが多いため、現代の技術を取り入れてエネルギー効率を向上させ、災害にも強い建物に生まれ変わらせます。

持続可能な建築と環境への配慮として、古い建物の活用は、環境負荷を低減するための持続可能な建築手法でもあります。新築を建てるには多くの資源が必要ですが、既存の建物を再利用することで、資源の浪費を抑え、廃材や建設廃棄物の削減につながります。また、環境に優しい素材やエネルギー効率の高い設備(太陽光パネル、断熱材など)を取り入れることで、古い建物も持続可能な空間に変えることが可能です。

地域コミュニティの活性化としては、古い建物をリノベーションすることで、新たなビジネスや観光の機会が生まれ、地域の経済やコミュニティが活性化します。例えば、古民家をゲストハウスや地域のカフェに転用することで、地元の魅力を引き出し、新たな交流の場を提供することができます。

まとめ

古い建物や古民家を活用することは、単に過去の遺産を保存するだけでなく、耐震性や災害対策を施しながら現代のニーズに応える新しい価値を創造することです。環境への配慮、地域社会の活性化、文化の継承など、持続可能な未来を築くための一つの方法として、今後もリフォームやリノベーションが注目されるでしょう。

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